シナリオノート 空下 元 について

企画&ライターの作業工程(ノベルゲーム制作講座)

ゲーム制作,講座,ノベルゲーム,企画書

 

前回の記事では、ノベルゲーム制作のおおまかな流れを説明しました。
今回は企画&ライターに的を絞って、作業の流れについて解説します。

ゲーム制作の流れを知らないと、きちんとした企画は立てられません。
なかなか実務作業に入れませんが、もうしばらくお付き合いください。

なお、初心者向けの解説になっておりますので
ゲーム開発の流れをご存じの方は読み飛ばしてもかまいません。

 

より詳しくは、noteで公開している

空下元のノベルゲーム制作講座1(企画編)

をご覧下さい。

(外部サイトに接続します)

 

 

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企画会議 ~ およそ1ヶ月 ~

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企画作りは、まっさらな状態からスタートします。
スケジュールも予算も決まっていません。

まずは『企画会議』を行い、スケジュールや予算を確認。
新しく立てる企画の雰囲気、
目指すべき方向性(テーマ)を決めます。

 

企画が立つ前の会議は
前作の作業や、他企画との同時並行で行われることが多いでしょう。

「次回作なんだけど。スポンサーやクライアント(様)、
プロデューサーが提示してきたスケジュールと予算はこんな感じ。
テーマも決まってないけど、とりまこれで企画を考えてみて☆」

と、「ふわふわ」とした状態で話を振られることになります。

 

初期段階で依頼主から、
スケジュールと予算、テーマが提示されていたら
それらの項目を考慮に入れつつ、
企画の初期案を『何作』か提出します。

もちろん『全ボツ』を食らうこともあります。
めげずに頑張りましょう。

 

初動にどの程度時間を割くかは開発現場によります。

今回は企画を練り、提出して、承認が得られるまでを
仮に『1ヶ月』とします。

 

設定&プロット作り : およそ3ヶ月

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企画書が通れば、
シナリオを執筆するための『設定』作りが始まります。

 

企画書が完成した段階で、プロデューサーが
原画家(イラストレーター)さんにキャラデザを発注します。

同時進行で、
シナリオの設計図にあたる『プロット』作りも行います。

企画が通れば予算も下りるので、
ギャラも発生します(やったね!)

 

これらの作業を完遂するには、
およそ『2~3ヶ月』かかります。

設定とプロットを決めながら、
背景などの『仕様書』も作成するので、
思っている以上に時間がかかります。覚悟しましょう。

 

ヒント:プロットとは?

小説における『あらすじ』の内容を、より具体的にまとめたもの。

 

「魔王が出てきて姫を誘拐して、なんやかんやあって勇者が倒す」
という物語の流れ(概要)が、あらすじです。

「なんやかんや」の部分を、具体的なイベント内容にまとめ、
章立てたリストを『プロット』と呼びます。

 

誰が、いつ、どこで、何をするのか(イベント)
といった内容を箇条書きにして、シナリオ執筆時の指針とします。

開発現場によっては、シナリオテーブル、イベントテーブル、
シナリオリスト、イベントリスト とも呼びます。

 

素材を発注する

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プロットがあれば、ゲーム内で使用する『素材』がわかるので
仕様書を元に、背景や音楽、SEなどを担当者に依頼します。

現場によって異なりますが、
仕様書の作成はディレクターが行うこともあるでしょう。

 

ですが、その仕様書の元となるデータを作るのは
企画を立てた本人です。

何故かって?
テレパシーでも使わない限り、てめぇの頭の中を覗けねぇからだYO!

 

というわけで、キャラの容姿や舞台となる町の景色、
作品に漂う雰囲気(退廃的か明るいのか、西洋か東洋か……など)
をテキストに書き起こしてまとめましょう。
キャラデザ、背景デザイン、BGMの方向性を掴むのに役立ちます。

 

シナリオ執筆 : およそ4ヶ月

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ここまでの作業で、すでに3~4ヶ月かかっていますね。
春から企画をスタートさせていた場合、すでに夏です。
アイスを食べている暇もありません、続いて執筆に入りましょう。

ノベルゲームのシナリオライターが一日で書けるテキスト容量ですが、
人によって大きなバラつきがあります。

今回は、
『一日でおよそ15KBのテキストを書く』ものとします。

1日15KBというのは、
空下が個人的に計測して出した平均執筆量です。
(多いか少ないかは、みなさんの判断にお任せします)

 

1時間で2KB分の文量を書くとして、8時間労働を行った場合

(2KB×8時間) - (気乗りしない日のマイナス分)=15KB

となるわけです。

 

シナリオは”水もの”なので、
書けない日は0KB。気合いが入ると30KBくらい書きます。

一般企業に倣って土日祝日はお休みを頂くとして
平日8時間、5日間働くとします。

 

一日15KB × 20日間労働 = 『300KB』

 

これが、一ヶ月の平均シナリオ生産量です。

 

1.8MBのシナリオ容量があるノベルゲームを制作する場合、
単純計算で『シナリオ執筆に6ヶ月』かかることになりますね。

 

今回は
「ライター二人体制で、一人当たり900KB。
二人でシナリオを完成させるのに、3~4ヶ月かかった」とします。

 

ヒント:ノベルゲームのテキストは分担できる

ノベルゲームのシナリオは作業の分担が可能で、
サブライターや、外注ライターさんにヘルプを頼めます。

1.8MBのシナリオの場合、ライター二人体制なら
単純計算で『3ヶ月』で執筆作業は終わります。

各社が複数ライター制を導入しているのも、
スケジュールの大幅な短縮を見込めるからでしょう。

 

※ 1人だと不慮のアクシデントに対応しきれない。
   また複数ライターにすることで
  作品としての深みや広がりを持たせられる側面もある。

 

仕様書の作成と素材チェック

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ゲームのシナリオライター(特にメインライター)は、
本編のテキストさえ仕上げればよい……というわけではなく、
ゲーム内に実装されるシステムボイスや宣伝用ムービーの台本を書いたり、
サブや外注ライターから上がってきたシナリオを総ざらいして
修正依頼を出すといった、校正&監修作業も行わなくてはなりません。

 

また、ライターのお仕事はテキストを書くだけではありません。

 

本編のシナリオを書きながら、
イベントCG(スチル)の仕様書を作成して、ディレクターに提出します。
追加で必要になった背景素材なども、この段階で発注しましょう。

 

上がってきた素材のチェックはディレクターが行いますが、
シナリオとの齟齬がないか意見を求められることもあるでしょう。
何だかんだで、『その他の仕事』に一ヶ月は工数が取られます。

なお、素材チェックはシナリオ執筆中やアフレコ中にも発生します。
同時進行で行うことになるので、スケジュールには余裕をもたせましょう。

 

アフレコ : およそ一ヶ月

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シナリオを納品したあとも、ライターはお仕事が残っています。
それが『アフレコ』です。

何もライターが声の演技をするわけではありません。
収録現場に赴き、キャラとボイスのすり合わせを行ったり、
わからない単語の説明や、演技の相談に乗ったりします。

現場によっては、アフレコを音響監督さんにお任せしたり、
ディレクターやプロデューサーが監修を行う場合もあるでしょう。

今回は『ライターがアフレコに参加する』とします。
およそ『2~4週間』ほど、収録スタジオに通うことになるでしょう。

 

 

スクリプト作業 : 1ヶ月

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シナリオを納品してアフレコが終われば、
いよいよ仕上げのスクリプト作業に入ります。

スクリプトが始まる前に、
各素材(立ち絵、CG,BGM,背景、プログラム)が揃っているとベスト。
間に合わない場合は作業を行いつつ素材を待つことに。

イベントCGはまだしも、シナリオが遅れるとスクリプト作業に入れません。

 

スクリプト作業は、
キャラの音声データを聞きつつ、演出(編集)を行うとして、
平均して『1日30KB』程度進みます。(あくまで目安です)

今回は、1.8MBのシナリオでゲームを作るとして、
作業が終わるまでに『60日』かかりますね。

 

スクリプトも人海戦術が可能で、手分けをして作業を行えば、
『60日 ÷ 3人 = 20日(1ヶ月)』で終わります。

(ライターがスクリプトを行うのは珍しいですが)
今回は「ライターもスクリプト参加 + 他2人スタッフがいる」とします。

 

ヒント:スクリプトとは?

視覚的聴覚的な演出を行うための、略式機械言語のこと。
もしくは、スクリプトを打ち込む作業そのもの。
マクロが組まれており、プログラム知識がなくても作業は可能です。

スクリプトデータを作成することで
ゲーム内でキャラの立ち絵を動かしたり、BGMを鳴らしたりできます。
作業内容としては動画の編集作業に近く、演出センスが問われます。

 

デバッグ、マスター作業 : 1ヶ月

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スクリプトが終わったあとには、デバッグ作業が待っています。

バグ潰しが終わったら
いよいよ『マスターディスク』を焼きます。

マスターディスクをDVDのプレス工場に送ったら、
ようやくマスターアップです。お疲れ様でした!

 

デバッグ&マスターアップ作業に、およそ10日かかるとします。
(これはかなり余裕を見たスケジュールですが……)

残りのおよそ20日間は、宣伝活動やサイトの更新作業など
細々としたお仕事が発売日まで続きます。

なお、タスクが山積みになっている場合は
「ひぃひぃ」言いながら、期日のギリギリまで作業を行います。

 

ヒント:デバッグとは?

ゲームの動作におかしな所がないかチェックする仕上げの作業。

アクションゲームとは違い、
ノベルゲームはシステムでバグが発生することは滅多にありません。
主に誤字脱字、ルート分岐のチェック、演出の見直しなどに当てられます。

 

企画を立てる際は、作業工数を把握しておこう

 

これで企画&ライター&スクリプターとしてのお仕事が
ひと通り終わりました。かかった工数は……

 

『仕込み作業 4ヶ月』
+『執筆    3~4ヶ月』
+『アフレコ  1ヶ月』
+『スクリプト 1~2ヶ月』(アフレコと同時進行になることが多い)
+『マスター  1ヶ月』
------------
合計 10~11ヶ月

 

というわけで、
1.8MBのシナリオ容量があるノベルゲームを作るのに、
最低でも『10~12ヶ月』はかかるわけです。

 

経験上、発売日が前倒しになることはありません。
作業の遅れを見越しつつ、宣伝期間なども考慮に入れると、
ゲームの発売日は企画をスタートさせてから
『11~12ヶ月後』に設定すべきでしょう。

 

※ PSやswitchといったコンシューマーハードだと
プラットフォームのチェック&パッケージのプレスに
時間がかるため、マスターは一ヶ月以上前倒しになります。

 

まとめ

上記の内容は、あくまで一例。
開発環境によってケースバイケースですが
企画を立てる際は、作業工数と人件費を念頭に置いてください。

 

「作業期間300年! 人件費無視!
ワイの作品はエロゲー業界のサクラダファミリアになるんや!」

という寝言は寝てから言いましょう。

 

次の記事からは今回学んだ作業の流れ、『現場感』を踏まえた上で、
企画の立て方、企画書の書き方についてレクチャーしていきます。

 

より詳しくは、noteで公開している

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